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中央政治大学院:小泉政権とわが党の使命
秋季特別講座I(2001年10月10日)
自由民主党幹事長 山崎拓  
 
以下、講演全文を掲載する。  
講演要旨は機関紙「自由民主」をご参照ください。  
 
 ご紹介頂きました自民党幹事長の山崎拓でございます。この研修会の講師を仰せつかりまして光栄に感じ、また熱心な受講生に心から敬意を表します。  
 ところで、わが自由民主党はわが国にたくさんの政党がありますが、一番の老舗でございます。共産党もありますが、その他の政党はわが党よりも遥かに若い政党です。  
 自由民主党は1955年に誕生しまして、46年間にも長い間存在し、大変に生命力の強い政党でございます。  
 
 船底に鍵穴が開くとスピードが鈍ると言いますが、小泉構造改革も党改革も現段階でスピードを早めようとしています。55年に誕生したのは、当時も政界再編が行われまして、当時の自由党と民主党が合同して自由民主党が誕生し、社会党は左右両派が一緒になって日本社会党ができたんですが、左右が合同したことから「日本」ではなく「二本」と揶揄されていました。それから、自民党、社会党などの55年体制時代に入りました。  
 今日では社会党もなくなり、社会民主党になり、現在の民主党内には旧社会党の片鱗を見せているところであります。55年体制は大変分かりやすい体制で、自由主義と社会主義というイデオロギーの対立であり、当事の世界情勢とも関係をしていました。つまり、日本は西側諸国、欧米の民主主義勢力と一緒に行動しておりました。一方で、東側と言われたのはソ連・中国を代表する社会・共産主義に世界は分かれました。まさに、米ソ冷戦の時代でした。  
 
 ところが、ベルリンの壁の崩壊によって冷戦構造も崩壊しました。それ以来、国際情勢はガラリと変わり、日本の政治構造も変わりました。一方、選挙制度の改正も行われ、国際情勢と国内政治の変革が行われ、選挙制度の変化が日本の政治を大きく揺さ振りました。失われた10年という言葉がありますが、これは、冷戦構造が崩壊した、バブルが崩壊した。政治においても失われた10年でありました。ネガティブな考え方かもしれませんが経済だけでなく、政治の面でも非常に大きなロスがあったと思っています。21世紀のスタートと共に、失われた10年を取り戻すためにも大きな飛躍を政治が成し遂げなければなりません。  
 
 そこで、小選挙区制度は2大政党を志向していますが、その旗頭は自由民主党であり、もう一方の政党は民主党が有力な候補ではあるが、政党として定まっていない。大変に失礼かもしれませんが、自民党と対立していくには不安定な状況にあると思います。  
 選挙制度について私は一つの考え方を持っておりまして、これだけ価値観が分かれている時代において、2つに分けるのは難しい。アメリカは、大統領制を敷いているので2大政党制は機能しているが、わが国のように議会制民主主義では、中選挙区制の方が良いと思っています。しかし、皆さんで決めたことですので、小選挙区比例代表制でうまく政治の運営をやっていかなくてはならない。55年体制では、社会主義対自由主義というイデオロギー対立があったわけですが、新しい対立概念が今見出せないことから日本の政治が息詰まっているわけです。今の政党の主義・主張には明確なサインがあるのか。共産党や社民党などは、例えば、安保では非武装中立の論理を持っている。現在行われているテロ対策の議論では如実に彼らの主張が表れています。この2つの政党を除いた政党に目立ったサインがあるのかということで、いつも考えさせられます。  
 小選挙区制では、二大政党制を志向しているのだから、何を持って国民は政党を選ぶのか。それは、政治に対する信頼感や自民党が安定感があるということで、支持率が高くなっており、一定の支持を得ています。しかし、対立する民主党などは風が吹かなければ票が取れない。民主党に対して風が吹く状況は大抵わが党に対するスキャンダルが存在する時。経済政策や安保政策、文教・福祉政策などの面で自民党の政策がダメということで民主党に支持が廻るということには必ずしもなっていない。消費税の導入では、当事の社会党に風が吹いた状況はありましたが、それ以外の政策面での民心の変化は経験しておりません。  
 これから先の政治の難しいところは、自民党がはっきりした政策面での相違を示していくことです。社民党や共産党以外の政党はすべて自由主義・民主主義を掲げており、自民党はリベラル・デモクラティック、民主党はリベラルを標榜しているが、なぜ民主党はリベラルなのか、リベラルという言葉を説明することが明確にできるのか。  
 
 そこで、民主党をリベラル政党とした場合、自民党との主張の違いを分析することは非常に難しい。敢えて違いを言うと、「大きな政府か小さな政府か」「安保における国際社会の貢献を果すべきであるか果さないべきか」「憲法改正を志向するかどうか」の3つの違いがあると思います。特に、憲法改正では9条の議論が象徴的ですが、私は、憲法の全文を改正すべきであると考えていますし、わが国のあるべき姿を憲法改正を通じて決めて行くべきだと思っています。  
 一方、全て残していくべきだとする考え方が民主党にあると感じています。 そう言った相違点はありますが、あまり明確なものではない。自民党としては、周囲の状況に取らわれることなく、独自の判断で重い存在の政党、責任政党としてまっしぐらに進んで行くべきだと考えています。  
 
 では、どう進んでいくべきか。「重い政府」「軽い政府」という議論になりますが、当然、「軽い政府」を目指していくべきです。国民の創意工夫をベースにして自由競争社会を目指すには、政府が国民に余り干渉すべきではありません。総体として国民を守っていけばいい。できるだけ政府の役割を軽くし、国民一人ひとりのやる気を引き出しながら、自由競争社会を築いていくべきだと思っています。そういう観点から、小泉構造改革でやろうとしていることは、財政再建が大きなことですが、財政で国民の生活を支えるということは、どうしてもお金が掛かります。つまり増税を余儀なくされる。増税をやりながら国民生活に深く関与しかねない。その弊害は、将来不安に繋がってしまう。高齢化が進む中、666兆円の債務があります。借金は必ず返さなければなりません。現世代で返さなければならない。  
 私は、よく居酒屋トークというものをやって若い世代の人たちと膝を交えて話しをするんですが、彼らは両親や自分の事でなく、子供の事、「子供を産んでいいのか」など将来に対する不安を口にします。その不安は財政の行き詰まりから来ています。  
 今の社会保障費は約80兆円。ピークの2025年では240兆円が必要だという試算があります。膨大な社会保障費が予想されます。その時には、国民負担も増大します。今は50%以下に抑えられていますが、国債を税金に変えるとたちまち50%を超えてしまう。これでは国民の活力を削いでしまう。所得の半分を国などに収める状況では、働く意欲が減退してしまいます。  
 
 このような「老体国」にしていいのかという議論から、「高負担高福祉」「低負担低福祉」「適性負担適性福祉」という考え方が出てきますが、自民党では「適性負担適正福祉」という考え方をとっています。自由闊達な経済活動を実現し、その成果を納税という形で、経済活動の活発化によって少子化高齢者社会に備えていくというのが自民党の政策であります。野党は「重い政府」を創って、高齢者医療や介護、年金などを国庫負担でやるべきだと主張しています。一方で、財源にせざるを得ない消費税には反対だといっており矛盾した考え方を持っています。  
 小泉総理は「増税なき構造改革」を明確に主張しています。大変に難しい問題ですが、これをやり遂げることが小泉政権の重大な使命であると考えています。それを成し遂げるには経済成長を回復させなければならないが、今までそのために公共事業などの財政支出で行ってきた。しかし、功を奏さなかった。私は、その間、政調会長もやりましたが、責任を免れないと痛感しています。結局、どうしたらいいのかと言えば、構造改革路線しかない。思い切ってシステムを変えるしかない。その中には規制改革があります。自由放任ではなく、新しいルールで、民営化などを通して、新しい活力を見出していくべきだと考えています。スリム化という言葉をよく使いますが、小泉総理自体、スリムな体型をしておりますが、構造改革はスリム化であると思っています。小泉さんは体格で示していると言えるのではないでしょうか。痩せてみると分かる。活力が増します。  
 一方、特殊法人に出しているお金、5兆3000億円を1兆円減らすだけでも大きな効果があります。構造改革にご理解を頂ければ幸いです。  
 
 次に、国際貢献の問題ですが、日本は、経済面では様々な役割を果してきました。先般出されました、月例経済報告によると、テロ事件発生後、米国では、国民の貯蓄率が増加しました。それ以前はマイナスの貯蓄率。マイナスというのはカードを使うから。今後、タリバンへの攻撃後にどうなるのか注目しているところです。  
 一方、貯蓄が上がると消費が下がります。消費はGDPの6割を占めています。GDPの大きな柱は個人消費が60%、設備投資が15%、輸出、公共投資などが10%などとなっています。そこで、個人消費の数字は経済成長に大きな影響を与えるわけです。米国で貯蓄が増えると消費が低下し、経済が沈滞します。沈滞すると輸出が減ります。GDPの10%が減るということは、大きな影響を受けます。為替レートにも敏感に反応します。アメリカの経済と日本経済は密接不可分であり、日本の輸出の3割が米国マーケットであり、2割がアジアです。特に、アジアの輸出が増えたことは注目すべきことです。  
 
 貿易立国という言葉がありますが、どのようにわが国が発展していったのか。  
 わが国には資源がありません。あるのは人間資源のみ。頭脳を開発し、勤勉性を持った人が最大の資源であります。  
 
 ところで、どれだけわが国が輸入しているかというと6億トンを輸入しており、3億トンが石油、1億トンが鉄鉱石などとなっています。国民の生活にとってなくてはならないものばかりです。代金は40兆円程度となっています。6億トンのうち国内で加工されどの程度流通しているのか。それが、8000万トン程度になります。  
鉄鉱石はトン当たり1万円。自動車は一台あたり100万円になります。これが付加価値というもの。わが国の人材が科学技術を生み出し、その技術によって付加価値を付けて、鉄の石ころが自動車になっているというふうに考えて頂ければ理解できます。わずか8000万トンの原材料が50兆円のお金を生み出す。だから、これだけの経済大国になることができた。資源ゼロ国・日本がこれだけの大国になれたのは貿易立国のおかげであります。それと、科学技術のおかげ。したがって、科学技術創造立国を目指していくべきであります。  
 そこで、わが国は、紛れもなく科学技術立国であるということをご理解頂きたい。別の言い方をすれば教育立国であり、人的資源しかない。理科離れが問題になっていますが、日本の将来のためにはあまり良くないと思います。もちろん金融だけで食べている国もありますが、日本は製造業を大事にしていくべきだと考えています。そのような国造りをしていく上でも、国際貢献が必要です。ODAは国際貢献ですが、約180か国のうち3分の1がODAをあてにしている。人口で比較すると世界の人口の2%であるわが国が世界の人口の15%に援助をしている。それだけ生活水準が高い。人道上の見地から世界の国に対して支援を行うことは憲法に書かれている「国際社会において名誉ある地位を占めたい」ということで、大事なことだと思います。  
 
 しかし、それは物的貢献であり、私は、この度のテロ危機が発生した直後、アメリカ大使館を訪れた時に、会合で湾岸危機の時、韓国に赴任をしていた大使館幹部から次のようなことを言われました。「日本が1兆3000億円という資金を拠出した一方、韓国は5億円であった。しかし、韓国は150人の部隊を送り15名が亡くなった。韓国はお金を出し、汗を出し、血も出した。日本は軍事的貢献は一切行わず、戦争後にペルシャ湾に掃海艇を派遣し、機雷の除去に留まった」と。湾岸危機は日本経済に直撃するような危機であり、石油については4分の3をペルシャ湾に依存していることから大変な危機でありました。油断大敵という言葉がありますが、危機感を持ちました。さらに「その時に、日本の貢献は理解しているが、世界の人は違った見方を日本にしていた」と話していました。この話を聞いて、人的な貢献を行うということは自衛隊の海外派遣が的確だと思いました。派兵ではありません。派遣するわけです。派兵ということは武力行使をすることでありますが、派遣では武力行使を伴わない。または武力行使と一体化しない地域において活動を行うということ。海外派遣には、南極観測、PKO,練習艦隊、リムパックなど様々な形態がありますが、本来の任務ではありません。したがって派遣に伴う任務規定を設けなければならない。これが新法の内容です。  
 国際テロを撲滅するため、国連決議の精神を体して、国際協調のなかで、必要な役割を果たそうということで、任務規定を書いているのが新法です。法定根拠が新法なのです。  
人的な国際貢献を経済的な貢献と並んでやる。それが自民党の主張です。  
 
 一方、これに慎重なのが野党です。慎重の度合が違いますが。自民党としては責任ある国際貢献を行いたい。それは憲法の枠内、憲法問題。憲法は改正すべきです。なぜかというと、今年の9月8日、サンフランシスコ講和条約が締結され日本が独立をした日の50周年の式典がアメリカ大使館で行われた。その時、私は次のような話をしました。日本国憲法が制定されたのは、条約締結前の1947年5月、独立する前、つまり主権国家ではなかった。独立していない国にどうして軍隊が持てるのか。独立する前の国が憲法を持つことは問題ないが、これが改正されなかったことが問題ではないのか。この憲法には3分の2条項があり、全国会議員の3分の2の賛成がなければ改正の発議ができない。今の選挙制度において一党で3分の2を占めることは不可能であります。憲法改正を成し得ないまま今日を迎えております。それは、憲法改正をやらなくても日常生活に支障を来すこともなく、経済は発展するという状況もあり、あまり憲法について敏感にならなくなった。そういうことがあると思います。  
 
 自衛権は、急迫不正の侵害に発動されますが、今回のテロは飛行機を乗っ取ってビルに突っ込んだ。こんなことは信じられないやり方で、さらに、ペンタゴンもやられた。急迫不正の侵害であり、世界最大の軍事国家であるアメリカの頭脳が突っ込んだ。狙いは明らかである。これを侵略と言わないでなんと言おうか。急迫不正の侵害の最たるものであり、自衛権の発動は当然であります。国連憲章51条にも書いてある通り、国際の平和と安全が脅かされた時には、しかるべき措置を講ずる間、加盟国は個別的自衛権及び集団的自衛権を行使することができるとし、個別的自衛権をアメリカが今回発動したことになる。英国は集団的自衛権を発動して参戦した。こうした事態のもと、日本は憲法解釈で集団的自衛権を発動しないということになっています。したがって、日本の役割は自衛隊の派遣の一形態として、新法を制定するという大変に回りくどいやり方で対処しています。国際テロを撲滅する際の国連決議に基づく国際協調において自衛隊が活躍するという任務はない。だから特別立法において書くわけです。非常にややこしいやり方となってます。これ以上の貢献を行うには、憲法を改正して集団的自衛権を行使できるようにしなければなりません。解釈によって変えろという意見がありますが、日本は法治国家であります。憲法が時の政権によって変えられるというのはどうなのか。それは、国民が変えることであり、例えば、非武装中立の政権を選んでしまうと、個別的自衛権でさえ危うくなってしまいます。時の政権によって憲法解釈を変えていくのは、憲法秩序を乱したり、憲法の中心を変えてしまうことになる。そのことを私は自分の著書にも書いてあります。  
 憲法解釈は一度確立したら変えるべきではなく、変えるのであるなら憲法改正で対応すべきであります。  
 これで私の話を終わらせて頂きます。  
 
(文責・中央政治大学院事務局)  
 
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