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VOICE OF TAKU山崎拓の主張
集団的自衛権
メールマガジン190号
時事通信社ニュースサイト「Janet」より転載  
  
  
2014/05/12-14:00  
山崎拓・元自民党副総裁に聞く  
自衛隊は「米の警察犬」に?=解釈改憲、将来に禍根残す  
■防衛政策の大転換を懸念  
■自衛隊、将来は海外派兵も  
■憲法改正で集団自衛権行使を  
■砂川判決での「限定容認論」は詭弁  
■「密接な関係にある国」とは?  
  
かつて「自民党防衛族のドン」と言えば、山崎拓元副総裁だった。憲法改正論者で知られるが、集団的自衛権行使容認の解釈改憲には反対し、安全保障政策でも安倍政権が進む方向とは見解を異にする。山崎氏の考えを聞いた。(聞き手=編集委員 村田純一、インタビューは5月8日)  
  
◇防衛政策の大転換を懸念  
−安倍政権は集団的自衛権の行使容認に向け憲法解釈の変更に踏み切ろうとしている。  
山崎拓・元自民党副総裁 集団的自衛権の行使を禁じた政府見解は、鈴木内閣以来、歴代政権で踏襲されてきた。解釈改憲は、ためにせんがためのもので、正面から堂々と憲法を改正せず、時の政権が解釈によって事実上の憲法改正を行うということだ。  
憲法改正は自民党の党是で、安倍晋三首相も憲法改正を目指す方針を掲げている。その手順として憲法96条を改正し、衆参両院議員3分の2の発議を2分の1の発議に変えようとしたが、それすら難しいと悟った。便法として解釈改憲で集団的自衛権行使を容認しようという考え方は、はなはだよろしくない。解釈改憲で容認すれば、憲法の法的安定性を損ない、これからも時の政権によって憲法解釈はどうにでもなるという前例をつくってしまう。これは避けなければならない。  
動機も不純ではないかとみる。安倍首相には、集団的自衛権行使を認めた政権として後世に名を残したいという情念的なものを感じる。首相本人の名誉欲のために強引に進めようとしている。世論の高い支持率に便乗し、自らの権力の下、閣僚を含む周辺の者全てがひれ伏している状況の中で、抜いてはならない刀を抜こうとしている。その政治姿勢はよくない。海外において武力行使を行おうとしているが、これは日本の防衛政策の大転換だ。これは戦前への回帰でもあり、将来に大きな禍根を残すのではないかと心配している。  
−オバマ米大統領は、集団的自衛権行使の検討を歓迎し、支持したが。  
山崎氏 オバマ大統領が集団的自衛権行使の検討を歓迎すると言ったことは、日本の将来にどういう意味を持つのか真剣に考える必要がある。米国は財政上の制約もあって「世界の警察官」であることができなくなっている。オバマ大統領は、米国は今や「世界の警察官ではない」と表明した。共和党政権になれば、世界の警察官としてまた元に戻るかもしれないが、今は米国だけではそれができなくなってきた。米国の軍事力が弱体化しており、それを日本の自衛隊によって埋める。米国が日本の集団的自衛権行使の検討を歓迎するというのはこのような意味だ。つまり日本の自衛隊は悪く言えば、米国の「警察犬」になるということだ。米国が世界中に展開して警察官としての役割を果たそうとする場合、日本も一緒に戦うし、米国が戦争をする時は日本も一緒に戦うことになる。お金で言えば、米国の国防予算の削減分を日本の防衛費で埋めてくれないかということだ。防衛技術の移転も求めてくる。もし米国に対し集団的自衛権を行使するなら、極めて限定的なものとすべきだし個別的自衛権の拡大で説明出来るだろう。  
  
◇自衛隊、将来は海外派兵も  
−米国は日本に応分の負担を求めている。  
山崎氏 集団的自衛権の行使を認めるというのはそういうことだ。応分の負担をやってくれということ。世界中どこまでも一緒に行ってやってくれと、米国が考えているわけではない。米本土が攻められることはない。米国が攻められることがあるとすれば、日本にある米軍基地だ。その場合、日本は個別的自衛権を発動して、これに米軍と共に対処する。  
一番あってはならない事態は米中戦争だが、もし米中戦争が起これば、日本の自衛隊は米国と一緒に戦うことになる。中国が警戒しているのは、そういう事態の可能性があるとみて、日本の動きを疑っているからだ。  
尖閣諸島の問題は個別的自衛権の問題だが、中国が軍事力で尖閣諸島を自分のものにしようとした場合、日米安保条約第5条により米軍も一緒に戦うことになる。大統領は日本側の要請に従って尖閣も安保適用対象と表明した。今までケリー国務長官の表明にとどまっていたが、わざわざ大統領に発言させた。ということは、軍事力を行使した場合、日本の自衛隊で排除できないときは米軍が出てくるということだ。  
日中の軍事衝突は米中の軍事衝突になり、ひいては日中戦争、米中戦争、日米対中国の戦争になる。この恐ろしいシナリオが尖閣をめぐって想定され、誰も口には出さないが、日米中3国が心配しているのは事実だ。あってはならないことなので、日本は外交の力で、中国に対し自重を求めなければならない。  
ところが、日中首脳会談もできない状況だ。安倍首相は北大西洋条約機構(NATO)に行って講演し、集団的自衛権行使の問題と中国の軍事力の膨張に対する懸念を、同じ文脈の中で話した。中国が軍事力を膨張させると、中国が尖閣を取りにくるというイメージが一つの事例として出てくる。首相の講演は、日中衝突が米中衝突に発展し、米中戦争になる場合、日米が合同で中国と戦うということを示唆したものと受け止められる。だから、中国側は到底容認できないと反発した。  
話を元に戻せば、世界中に展開している米軍がどこかで戦うことになれば、日本の自衛隊も一緒に戦うということに将来なりかねない。つまり、インド洋、中東、欧州にせよ、自衛隊が海外に出るときは派遣ではなく、派兵になる。  
自衛隊はイラク戦争時にサマワに行ったが、海外派遣にとどめた。自衛隊が行ったところが非戦闘地域と小泉純一郎首相は「迷答弁」したが、あれは民生安定のための派遣で、軍事力行使や戦闘行為のためではなかった。戦闘行為のためなら海外派兵であり、憲法が厳重に禁じている。  
私が提案する憲法改正では9条第1項は変えない。私が主張する憲法改正の目的は日本が軍隊を持てるように改めることだ。今の自衛隊は軍隊ではないという解釈になっているが、あまりにも実態とかけ離れていて、おかしい。「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」となっているが、自衛のために戦力の保有は認められるものにする。その自衛とは、個別的自衛権と集団的自衛権があるが、集団的自衛権のことは国連憲章に書いてある。憲法には書いても書かなくてもいいが、自衛のためと書けば、個別的、集団的どちらの意味も含んでいる。  
  
◇憲法改正で集団自衛権行使を−集団的自衛権行使に賛成する立場は変わらないのか。  
山崎氏 憲法改正の中で集団的自衛権行使は認める。自動的にそうなる。自衛のための軍隊を持つことを認めるからだ。  
−解釈改憲で集団的自衛権の行使容認に反対するのは、国民の同意を得ない手続きが問題だからか。  
山崎氏 それもあるが、私は今の防衛政策を転換することには反対だ。憲法を改正しても防衛政策は別。憲法を改正して防衛のための軍事力を持てるように書けば、個別的自衛権と集団的自衛権は入る。しかし、防衛政策上は極めて限定的になる。集団的自衛権を行使するために憲法を改正するのではない。それは国連憲章で認められている。防衛政策を実際にどうするかは別の話だ。国際紛争を解決する手段として、武力による威嚇、武力の行使を永久に放棄するということは変えない。  
−海外での武力行使という防衛政策の大転換につながることには反対だと。  
山崎氏 もしそうなれば、日米安保条約を再改定しなければならない。日本の基地提供はなくなる。完全に集団的自衛権を行使できるようになれば、日米は安保上対等の関係になる。安保条約の片務性に鑑みて日本は米国に基地を提供している。  
−安倍首相は日米対等の軍事同盟を目指しているようだが。  
山崎氏 本人から聞いたことがないので断言できないが、もしそうなら安保条約を再改定し、岸信介首相ができなかったことを孫がやって、全ての米軍基地の返還を求めることになる。それは日米関係を根本的におかしくする。日本にとって米国の核抑止力がなくなると、日本の核武装を求める声も強まる。今、安倍政権は防衛政策の大転換を図ろうとしている。集団的自衛権をめぐる国会答弁を聞いていると、地理的範囲も対象国も無制限だ。どこへでも行けるし、国連加盟国のどの国も対象だと言わんばかりだった。しかし、周囲からたしなめられて、かなり限定的になってきた。だけど、穴が開いてくる。限定的と言っても穴はどんどん広がってくる。海外派兵を認めるか否か、今の憲法解釈ではできないが、解釈見直しで可能になる。  
  
◇砂川判決での「限定容認論」は詭弁  
−自民党の高村正彦副総裁が1959年の最高裁判決(砂川判決)から必要最小限度の集団的自衛権の行使を認める「限定容認論」を唱えたが、公明党は反対の立場を示している。  
山崎氏 (公明党の考えと)全く同じだ。砂川判決そのものが古証文だ。集団的自衛権を対象にしていない判決だ。対象になっているとすれば、米国の日本に対する集団的自衛権の行使だ。日本を守るために米軍の基地が日本にあるということは憲法違反ではない、というのが砂川判決だ。日本の集団的自衛権行使のことではない。日本にある米軍基地が攻撃を受けたら、それは日本国内のことであり、日本の領土の上でのことだから、日本の自衛権、個別的自衛権の問題だ。高村さんの議論は牽強(けんきょう)付会、こじつけの議論だ。これを持って詭弁(きべん)という。山口那津男代表は優秀な法律家、弁護士だから、すぐに詭弁と分かり、欺瞞(ぎまん)性を見破ったわけだ。  
−集団的自衛権行使の推進論者は、国際的な安全保障環境が変わったことも根拠に行使を認めるべきだと主張する。  
山崎氏 突然国際環境が変わったわけではない。米ソ冷戦時代の方が国際情勢は緊迫していた。米ソ冷戦の最前線に日本はいた。  
当時の中曽根康弘首相は日本を「不沈空母」に例え、批判された。中曽根発言は、米ソが戦えば日本が不沈空母になる、つまり集団的自衛権を行使するという意味だ。(野党、マスコミなどから)袋だたきにあい、発言を引っ込めた。中曽根首相が1983年1月に初訪米でワシントンへ行った時、藤波孝生官房長官、与謝野馨さんと私が一緒にお供し、中曽根首相の横でその発言を聞いていた。当時の軍事情勢の方が緊迫し、今は米中が戦う可能性は少ない。あの時は米ソが戦うかもしれないという前提があった。極東ソ連軍は日本にとって潜在的脅威だったが、中国の軍事力は今までのところ潜在的脅威とは認定していない。  
−憲法改正は困難で時間がかかるから、解釈改憲で集団的自衛権行使を認めようとしている。  
山崎氏 安倍首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)はわが国周辺の国際情勢の変化を強調しているが、近い将来、日中戦争になり得るという前提で議論しているのではないか。中国に対する外交的配慮が足りない。逆に(安倍首相は)靖国神社に行って中国を刺激している。  
  
◇「密接な関係にある国」とは?  
−安倍政権はなぜ集団的自衛権行使容認に急いでいるとみるか。  
山崎氏 ひょっとしたら「戦争ごっこ」が好きなんじゃないか。そんな世代に入っているような気さえする。軍事力で対等になりたいという考えがある。米国に日本を守らせようという考えは確立しているが、今の安倍政権の集団的自衛権の議論は日本が米国を守ってやろうという話だ。それだけでなく、集団的自衛権行使の対象国は限定しないという。対象は「密接な関係にある国」というが、その定義がない。軍事的に密接な関係にある国は米国しかないが、軍事的とは書いていない。何をもって密接な関係と言うのか。米国以外はどこか。国連加盟国全部だと言っているのか。そんなバカな話はない。これは非常に大きな穴だ。そんなことを言えば中国だって密接な関係にある国だ。自衛隊が世界中を回って各国に加勢するというのか。  
−公明党は最終的に容認すると思うか。  
山崎氏 公明党がどうするかは知らないし、論じるわけにはいかないが、今までの公明党の発言は私と全く一緒だ。数年前、自公の安保調整会議があって、私が自民党の安保調査会長だった時、公明党の山口さんがカウンターパートだった。与党内で安保政策を調整した。一緒に議論した。すごく頭のいい人で、何でも詳しく知っていた。私も手を焼いた。あんなに安保問題に詳しい人は自民党内にはいない。山口さんの発言はよく理解できる。  
−山口さんは、連立離脱は考えていないというが、公明党の連立離脱は。  
山崎氏 それは政治問題だ。それは公明党が決めることで、分からない。  
−集団的自衛権行使で「集団的」という言葉を使わない案も検討されている。公明党に配慮して、個別的とも集団的とも書かないというが、事実上は集団的自衛権行使を認める案だという。  
山崎氏 安倍首相は何としても集団的自衛権という言葉を政府方針に盛り込みたいだろう。  
単に自衛権という言葉で表記しても、自分の実績にならないと思うのではないか。
 
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