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国際情勢の変化と日米同盟の将来
米国シンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)での講演内容
 本日は、ここ戦略国際問題研究所にお招き頂き光栄に存じます。本講演の実現に尽力して下さった関係者の方々に感謝申し上げます。  
 
(1、はじめに)  
 
 我が国は、150年前に日米和親条約を調印することで、それまでの鎖国政策を捨て、近代国家への道を歩むことになりました。その後、列強に互するという合い言葉の下に、「富国強兵」を国是として、国勢の進展に努めました。強兵策の誤りもあって、国を敗戦に導きましたが、この危機を脱することができたのは、第二次世界大戦後に根付いた民主主義と自由主義、そして、一世紀に亘って絶えず志向してきた富国策による経済発展のおかげでありました。  
 
我が国は、いまや世界第2位の経済大国となり、国際政治に大きな地位を占め、極めて重要な役割を果たすことが求められています。しかし、安全保障政策においては、先の大戦に起因するトラウマが解消されず、世界の常識に追いつかなければならない部分を残しながら、今日に至っております。  
 
こうした問題意識を背景に、本日は、「国際情勢の変化と日米同盟の将来」について、私なりの考えを述べさせていただきます。  
 
(2、安全保障環境の変化)  
 
 冷戦構造の終焉により、今日では、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいていますが、東西対立の下で抑えられてきた地域紛争や大量破壊兵器の拡散などの問題は、「冷戦後」直後よりも現在の方がより深刻になっています。また、「9・11」を契機として、脅威認識の変化も加速され、テロ組織など非国家主体が脅威の主体に加わり、テロ活動、海賊行為、麻薬密輸などの不法行動、緊急事態が安全保障上の問題として重視されるようになっています。  
 
 いまや冷戦の立役者であった米国とロシアの間には、安全保障上の問題に関する国際協調・協力の流れが基本的に定着しています。今日の自由と繁栄が、世界の平和と安定を前提に確保されている以上、責任ある国家であれば、現代社会の安定秩序を根底から覆そうと試みることは極めて考えにくいと思われます。したがって、私たちはこの安定した秩序を脅かす存在であるテロリストやいわゆる「ならず者国家」に対して敏感にならざるを得ません。  
 
 テロリストや「ならず者国家」は、合理的な計算が効かない脅威、つまり従来の「抑止」の考え方が必ずしも通用するとは限らない脅威です。戦争が終わった後も戦闘状態が続き、治安が安定しないイラクの現状は、このことを証明しています。  
 
 イラクにおいては6月28日に暫定政府への主権委譲が行われ、やがて総選挙を経て民主国家イラクが樹立されるものと期待していますが、混乱はまだまだ続くでしょう。非常に困難な使命ですが、テロとの闘いに必ず勝利するため、世界の民主国家は結束していかねばなりません。  
 
 一方イラク問題を含め、中東地域に真の平和と安定をもたらすには、この地域の不安定の歴史的背景であるパレスチナ問題の解決と中東和平の実現が不可欠であると考えます。イラク戦争は、フセイン圧制政治の下で苦しむイラク人民の救済とフセインが開発しようとしていた大量破壊兵器が国際テロリズムと結びつくことを防ぐための国際正義に基づく行動であったと説明されています。  
 
 しかし、パレスチナ問題は領土をめぐる民族の対立であると同時に、正にエルサレムをめぐるイスラムとユダヤの宗教戦争であり、文明の衝突でもあります。  
 
 この流血の惨事の繰り返しに対して、国連が乗り出して解決することをイスラエルは拒否していますが、イスラエルに唯一影響力を持つ米国が強力に説得して、幾度も書き換えられてきた中東和平のロードマップを国連の手によって実行に移さなければなりません。  
 
 この際、多くのアラブ人が、米国のパレスチナ問題への対応が、イスラエルに対し寛容すぎて、いわゆる「ダブルスタンダード」ではないかと強く意識していることも、米国が十分考慮されることを期待しています。  
 
(我が国周辺地域の情勢)  
 アジア太平洋地域においては、1990年代以降、たとえば、中露関係や中韓関係などのように、対立関係にあった二国間関係が正常化、もしくは大幅な改善がなされました。  
 
 しかし、この地域は、民族、宗教、政治体制、経済力などを異にする多様な複数の主要国が存在し、利害が錯綜する複雑な構造にあります。朝鮮半島における緊張、中国と台湾の問題や島の領有権を巡る対立など、統一問題・領土問題も存続しています。最近では将来の資源確保も念頭においた海洋権益をめぐる諸問題なども注目されています。  
 
 中国やインドなど、現在の世界経済の成長に大きく貢献している国家をはじめ、多くの国々では、これまでの経済発展を背景に軍事力の近代化を進めています。一部の地域においては、経済格差の拡大、経済停滞、政府の統治能力低下やイスラム過激派の存在などにより、国際テロ組織の活動や海賊行為などが活発化するおそれもあります。これに加え、国際社会全体の問題となっている大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の問題も、この地域の安全保障にとって深刻な影響を及ぼす問題となっています。  
 
(中国及びロシアの軍事情勢について)  
 次に、最近のロシアと中国の軍事情勢について述べてみたいと思います。  
 
 ロシアの極東地域の兵力は、大幅に削減された状態です。たとえばピーク時の1989年と2003年を比べると、地上と航空兵力は三分の一以下、海上兵力は七分の一に減少しています。  
 
 これとは対照的に、中国は軍事力の量から質への転換を図りつつあり、近代戦に対応出来る正規戦主体の態勢へ移行中です。そのため国防費は、当初予算比で16年連続対前年比10%以上という著しい伸びを示しています。2003年度で約1850億元(約2兆8000億円、約250億ドル)と公表されていますが、研究開発費や外国からの装備調達費を含めると、実際にはこの2〜3倍になると推定する向きもあります。台湾独立への警戒感も、一層の国防費の伸びを惹起していると思われます。  
 
(北朝鮮をめぐる情勢について)  
 又、朝鮮半島情勢ですが、去る5月22日わが国の小泉首相が、2002年9月17日の一回目の訪朝以来再訪朝し、金正日朝鮮労働党総書記と二回目の会談をしました。  
 その結果、5人の帰国被拉致家族の子供たちが帰国しましたが、小泉首相の本当の狙いは、自らが金正日総書記との間で署名した「平壌宣言」を、今後2年有余と思われる自らの任務中に実現するための布石を打つことでした。  
 
 「平壌宣言」には、国交正常化成立と同時に日本からの本格的な経済協力が書かれていましたが、今回の再会談で小泉首相は、国交正常化と本格的な経済協力の前提として「拉致問題の解決と六カ国協議を通じた核廃棄とミサイルの凍結の実現」を明示し、これを自らの任期中に実行に移すべきロードマップとして示しました。  
 
 これに対し、金正日総書記も拉致問題についても再調査を約束し、核問題については朝鮮半島の非核化を目指すことを明言しました。日米両国の「対話と圧力」の政策は着実に効果を挙げつつあるのです。  
 
 しかし、韓国の盧武鉉政権は、金大中政権以来の太陽政策を一層推進する方針であり、南北関係は雪どけが進む状況にあります。この雪解けは、金正日体制の対南工作が一定の軌道に乗りつつあると見るべきだとの見方もあり、北朝鮮の大量破壊兵器、弾道ミサイル、特殊部隊等の軍事能力の維持・強化路線を打破するためには、引き続き日・米・韓三国による強固な連帯と六者協議の枠組みが不可欠であると考えます。  
 
(3 日米同盟の将来)  
 
 こうした新たな国際安全保障環境における「日米同盟の在り方」について、私の考え方を述べさせて頂きます。  
 
 1951年の日米安保条約締結以来、日米同盟は「世界で最も重要な二国間関係」たる紐帯として重要な役割を果たして参りました。この50余年間、日本が戦争の悲劇を再び経験することなく、平和と繁栄を享受することが出来たのは、日米同盟という安全保障の基盤があってこそであると私は認識しております。  
 
 冷戦の終焉により、日米同盟は、より複雑で不安定な国際的な安全保障環境に対応する「グローバルな協力・連携」の段階に発展しつつあり、今後一層、「新情勢」に適切に対応する同盟関係としてしっかりと強化していく必要があります。  
 
 この数年、我が国は日米同盟をより実効的なものとし、国際社会の平和と安定に貢献するため、92年に国際平和協力法、99年の周辺事態安全確保法、01年には、同年に米国で発生した同時多発テロを踏まえたテロ対策特別措置法、03年にイラク人道復興支援特別措置法、武力攻撃事態対処法など、法的な整備を進めてきています。  
 
 今後、我が国は積極的に国際平和の構築に寄与するため、自衛隊の海外派遣も含む国際平和協力に関する恒久的な法律を制定すべきであると考えています。現行憲法の解釈でも可能ですが、国際的な活動を我が国防衛と同様に自衛隊の「本来任務」と位置付けるには、自衛隊法の改正のみならず、国家基本法たる「憲法」の改正も行い、9条に国際平和への貢献を謳う必要があります。そして、自衛隊の組織・装備の面でも、その重要性を反映したものに変革させることが必要です。そうしてこそ、我が国の国際社会に占める地位に見合った国際的な使命と責任を果たすことが可能となるのです。  
 
 私は、日本のあるべき姿として、内にあっては礼節や信義、そして「社会奉仕」の精神、外に対しては「国際貢献」という道徳性の高い国民精神を謳う「道義国家ニッポン」を哲学とする新しい憲法の在り方を考えております。我が国は国際平和に対して受け身であることは許されません。  
 
 先に述べたとおり、日米の防衛協力関係は、我が国の平和と安全のみならず、アジア太平洋地域における平和と安定のための基軸であります。  
 
 INSSレポート(アーミテージ・ナイ・レポート)でも日米対等のパートナーシップが強調されており、日米の安保協力関係を発展させるためには、自衛隊が米軍と可能な限り共同して対処できるようにすべきであります。したがって、日米同盟の強化のためには集団的自衛権の保持を憲法上明確にすべきであると思います。  
 
 これは包括的に一般的自衛権の保持を明確にすればよいと思います。但し、安保政策上、集団的自衛権の行使を限定的なものにすることは必要なことであると考えますので、別途安全保障基本法のようなものを制定して、その中にその旨明示すべきであろうと考えます。  
 
 アジア太平洋地域の安全保障環境のためにも、同盟国たる米国・米軍との協調・調整は必要不可欠です。米軍は現在、「軍の変革(トランスフォーメーション)」「軍事態勢の見直し(グローバル・ポスチャー・レビュー)」において、その在り方全般の見直しを検討中であると承知しております。  
 
 この中で在日米軍の態勢についても見直しが行われるであろうと思いますが、在日米軍施設・区域の周辺地域においては、航空機の煩雑な離発着や米軍人などによる事件・事故の発生が地域住民に様々な影響を与えています。特に沖縄県には在日米軍施設・区域が集中し、県民の生活に多大の影響を及ぼしています。  
 
 こうした観点から、日米の当局者間で、積極的な協議が実施され、韓国で行おうとしているように、米国のコミットメントを維持しつつ、日本国内の基地を縮小していく方策を考えるべき時期にきていると考えています。  
 
(4 おわりに)  
 
 我が国の指導者たちに最も人気がある小説に司馬遼太郎の「坂の上の雲」という作品があります。我が国が近代国家への道を歩みだした「明治」という激動の時代に、遠くに見える『坂の上』に浮かんだ『雲』〜夢〜を目指して、無から「国家」を作り上げようとして、懸命に生き抜く三人の男たちの物語です。  
 
 冒頭申し上げましたように、我が国は、20世紀の前半は、欧米列強に追いつくという「坂の上の雲」を追い求め、後半は、経済成長を「坂の上の雲」としてきました。過去の我が国には、常に我が国が手本とすべきモデルの像、モデル国家が存在していました。  
 
 しかし、今や日本が理想とすべき「坂の上の雲」、新しく目標とすべき国家像を他国に求めることは出来なくなりました。日本は自らの手で理想の国家像をつくり、掲げていかなければなりません。  
 
 私はこれからの日本の国家像のキーワードは次の三つに集約されると考えております。「品格ある国家」「活力ある経済」「安心できる社会」の三つです。具体的には、積極的平和主義を実践しつつ、経済を成長させ、国民一人ひとりが活き活きと暮らせる国家を目指すことです。品格を有し、あらゆる面で国際貢献を行う国家として、国際社会の敬意を得ることが肝要です。  
 
 私は、来るべき憲法改正において、これらの諸点を明確にし、「道義国家」を実現していくべきであると考えます。我が国は、この「道義国家」の実現のためにも、自由経済と民主主義という価値観を共有し、また、国際社会や地域の平和と安定という共通の国益の基盤を有する米国との同盟関係を更に発展させていくことがますます重要になっている、これが私の認識であります。米国側も同様の認識で、対等のパートナーシップを発揮されることを期待しています。  
 
 以上、ささやかながら、私の考えの一端をお話しさせていただきました。  
 ご静聴ありがとうございました  
 
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