イラク問題解決に向けた日本の選択 2003年3月14日 めるまが第59号 イラク問題解決に向けた武力行使につき、国連安保理において新決議を採択するかどうか、瀬戸際の議論が行われています。
このたび米・英国が提案した最終決議案が受け入れられるように、日本政府としても最大限の外交努力をしているところです。
小泉首相がフランス、チリ、メキシコ、パキスタンなどの安保理事国や米国大統領と直接電話で会談していることを始め、茂木外務副大臣を特使としてイラクに派遣し、大量破壊兵器の「無条件の即時完全廃棄」を求め、また中山元外相、高村元外相をイラク周辺アラブ諸国に派遣し、日本の立場を説明、理解と協調を求めるなど、小泉政権は今までの日本外交より一歩前に踏み出したイニシアチブをとっています。
達成すべきゴールは「イラクに大量破壊兵器を廃棄させ、国際平和に対する脅威を除去すること」です。
そもそもイラクが、これまでの幾度にもわたる国連決議に従い、大量破壊兵器を廃棄していれば、当然、武力行使の必要はないはずで、それに越したことはありません。
ところが、イラクのフセイン政権は、この12年間で16回国連決議を無視しつづけ、国連査察団に十分な情報を提出するに至っていません。
国際社会が一致協力してイラクに圧力を加え、大量破壊兵器を即時廃棄する方向にもっていくことが重要なのす。
残念ながら、国際社会の冷厳な現実として、外交力を発揮するには軍事力の裏打ちが不可欠、すなわち米国をとりこまずしては、国連の紛争解決・防止力は実質的に意味をもたず形骸化してしまいます。
フランス・ドイツも自らの主張(武力行使に反対すること)を正義と考えている
と思いますが力なき正義も、正義なき力も同様に罪悪だと考えます。
日本には、1.国連中心主義、2.日米同盟堅持、3.アジアの一員として地域の平和と安定に貢献する、という外交3原則があり、常にそれを踏まえて外交を展開してきました。
では国連の枠外で武力行使が行われた場合、どうすべきか。
北朝鮮の核開発問題が東アジアの平和を脅かしていることが顕在化した現在、「アジアの平和と安定」という第3の原則を加味して判断すべきです。
北朝鮮の暴走を阻止する抑止力は北東アジアに展開する米軍の軍事力に頼らざるを得ません。
米国があくまでも一連の国連決議に基づいての武力行使だと説明した場合、米国の行動を同盟国として支持することが、朝鮮半島情勢をもふまえ、日本のとるべき選択肢だと考えています。
米国の武力行使を支持することに国民の大半が反対していることはよく認識しています。しかし、国際テロ組織とイラクが結びついて生物化学兵器を使えば大惨禍が起こります。その予防措置としての武力行使が避けられないとすれば、われわれ政治家がもっと国民の理解を得る努力をすべきです。
当然のことながら、日本が武力行使することはありえませんから、日本ができる支援は、戦時下においては難民支援に限定されており、戦後復興支援に主要な役割を果たしたいと考えます。
たとえば治安維持、食糧・医療の提供、イラク難民および周辺国を含めた人道支援などです。自衛隊派遣も視野に入れ、医療、輸送、土木・化学兵器等の廃棄処理、などの分野で活動することを提案したいと考えています。 |
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