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VOICE OF TAKU山崎拓の主張
東アジア経済共同体構想について
韓国国立慶尚大学校での特別講義概要
 2002年1月小泉日本国首相が「東アジア・コミュニティ」構想を初めて提唱した。これは未だコンセプトの段階であるが、後で述べる欧州における例のように、共同体形成は段階的に、まず経済統合からスタートすべきであろう。それ故か「東アジア経済共同体」構想は、関係諸国の中で今や急速に広がりつつある。   
 関係諸国とは、いわゆる「ASEAN(東南アジア諸国連合)+3(日・中・韓)」他であるが、さらにインド、豪州、ニュージーランドを加えて、本年12月にマレーシアで初めて開かれるEAS(東アジア首脳会議)で、東アジア経済共同体創設に向けてその第一歩を踏み出そうとしている。   
経済共同体の元祖としては、1952年に創設された欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC=EUROPEAN COAL AND STEEL COMMUNITY)があるが、1958年には欧州経済共同体(EEC=EUROPEAN ECONOMIC COMMUNITY)に発展した。   
 私は1962年に初めて訪欧の機会を得て当時のEECの実情を視察したが、第一次及び第二次世界大戦に於いて欧州諸国の分裂と対立が悲惨な結末を招いたことへの反省と、さらに植民地を失って狭隘化した市場の拡大を図る必要性から、まず西欧8カ国の関税障壁を無くすこと等市場統合を先行させ、強大な米国経済に対する競争力を保有しようとする狙いであることが理解できた。   
 しかしその後1967年には政治的統合をも目指す欧州共同体(EC=EUROPEAN COMMUNITIES)に発展し、さらに米ソ冷戦構造の崩壊後の1993年には欧州連合(EU=EUROPEAN UNION)が成立し、1999年の単一通貨ユーロ導入へと深化してきた。同時に旧共産圏の東欧諸国を加盟国に加える拡大プロセスが続いている。   
 一方その他の地域に於いても、現在の米国・カナダ・メキシコ3カ国による北米自由貿易協定(NAFTA)のように、近く中南米諸国を加えて34カ国の全米自由貿易地域(FTAA=FREE TRADE AREA OF THE AMERICAS)として大規模な地域統合体に発展する予定のものもある。   
 それに比べれば同様の地域統合を目指す東アジア経済共同体への歩みは、遅々として“日暮れて道遠し”の感が一入である。   
 ASEANがインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ5カ国による経済・社会・文化面での地域協力機構として設立されたのが1967年8月のことである。その後1984年にブルネイが加盟し、1995年のベトナム、1997年のラオスとミャンマー、1999年にカンボジアがそれぞれ加盟し10カ国となった。   
 さらに1994年よりこのASEANに日・中・韓・オーストラリア・ニュージーランド・米国・カナダ・EU・ロシアが参加するアセアン地域フォーラム(ARF)が形成され、安全保障問題をも討議するようになった。   
 別に1989年にアジア太平洋経済協力会議(APEC=ASIA−PACIFIC ECONOMIC COOPERATION)がASEAN+3、他21カ国からなる協議体が発足しているが、これは東アジアの地域統合体の母体になるわけではない。   
  
 そこでアジア通貨危機後に誕生した地域協力体としてのASEAN+3他の規模を経済力の面から見ると、【別表機曄塀米国分)の通りである。   
 この表でお分かりの通り、ASEAN10カ国の対世界GDP比は僅かに1.9%に過ぎず、これに対し、日・中・韓3カ国で17.4%に及び、その相対的比率は実に1対9になっている。   
 そこで重要な点は、   
第一に、盧武鉉大統領が、大統領就任演説(2003年2月25日)で呼びかけられた通り、日・中・韓3国の経済連携の強化と政治的関係の安定化を通じて3国経済共同体の形成を目指すことであり、   
第二に、将来ASEAN諸国全体の経済発展をもたらす市場の拡大と投資の導入である。   
第三に、関係各国と米国との政治的・経済的関係を健全に保ちながら、協調しつつ東アジア経済共同体の形成を進めるべきことである。   
以上三点について所見を申し述べたい。   
  
 まず、第一の日中韓3国間の経済連携の強化に関しては、これを妨げる政治障壁の問題がある。現状の日中関係を示す表現として“政冷経熱”という言葉がしばしば用いられる。   
 しかしながら3国間の経済関係は近年益々深化し、その実績は【別表供曚猟未蠅任△襦   
 今後これらの実績が示すような密接な経済関係が、市場原理に基づき順調に維持・拡大されるためには、日・中・韓3カ国で新しい投資協定づくりを急ぐと共に、大詰めの政府間交渉を迎えている日韓EPAをはじめ3国間自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の締結等によって貿易や投資の垣根を一層低くする必要がある。そのためには、その前提条件として3国間の政治的関係の改善が必要である。事実日本の対中国投資は、反日デモの拡大があった本年4月に、前年同月比25.1%減と一気に落ち込み、それ以来伸び率の低迷が続いている。   
 その意味で、日中・日韓両国間に横たわるトゲとされている、いわゆる歴史問題の早期の解決が望ましい。具体的には、靖国問題や教科書問題等であるが、三国首脳間の未来志向の理念に基づく、冷静かつ思慮深い対話の積み重ねによって打開すべきであると信じている。   
 本年8月15日、小泉首相は次のような談話を発出した。   
『我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。こうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明するとともに、先の大戦における内外のすべての犠牲者に謹んで哀悼の意を表します。悲惨な戦争の教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく世界の平和と繁栄に貢献していく決意です。』   
私もこの際日本の政治家の一人として、より高度な日中及び日韓友好関係の樹立に引き続き努めていくことをお誓いしたい。   
  
 第二に、ASEAN諸国の経済発展と経済共同体化の方策である。EUモデルに比して大きく異なる点は、ASEAN諸国間では政治・経済・社会・文化・宗教・言語等の多様で複雑な相違があり、協調と融和を難しくしている点である。従ってこの地域の統合は従来非現実的とされてきた。もし10カ国が全て二国間FTAを結ぶとすれば、45通りもある。お互いの市場も比較的小さいので、効率も効果も小さい。10カ国が日・中・韓3国とそれぞれFTAを結ぶとしても30通りある。従って日・中・韓3国を基軸として包括的経済連携協定(EPA)を結ぶことを目標に据えるべきである。   
 韓国は既にASEANとのFTA交渉を開始しており、2009年迄に関税を撤廃する予定だと聞いている。又2002年11月、日本・ASEAN首脳会談に於いて「日本・ASEAN包括的経済連携構想」に関する共同宣言が採択されている。   
 このように日・中・韓3国のASEAN諸国に対する経済協力や、投資及び貿易を拡大させ、競争的共存を図るべきである。   
 日本はFTA交渉等において国際的に弱体である自らの農業をいかに護るかにとらわれ過ぎることを反省しなければならない。ASEAN各国が日本とのFTA交渉において、日本の農業の自由化に期待していることは明らかである。    
  
 第三に、世界のGDP合計の30%を占める米国という巨大な市場や、同様28.8%を占めるEUの市場も極めて重要である。   
 事実、ASEANの対域外貿易統計(2003年)を見ると、輸出面(3,794億ドル)では、   
1位 米国(21.3%)   
2位 EU(17.4%)   
3位 日本(15.1%)   
4位 中国(10.4%)   
6位 韓国(4.9%)になっている。   
 輸入面(3,118億ドル)では、   
1位 日本(20.2%)、   
2位 米国(16.0%)   
3位 EU(14.3%)   
4位 中国(11.2%)   
6位 韓国(6.7%)   
米国と並んでEUのウェイトも確かに高い。   
 しかし、米国との関係は特別である。日米安保条約及び米韓安保条約を両軸として、アジア太平洋地域における米国の軍事力のプレゼンスは、この地域の安全保障の大きなスタビライザーとなっている。   
 米中関係には台湾問題があるので微妙な点があるが、米中間の経済関係(2004年実績)は次の通りである。さらに年々拡大する傾向にあり、米中相互に政治的、軍事的対立を極力回避する努力をしている。   
  
  
 南北統一を目指す韓国としても、そのことが朝鮮半島の非核化を大前提としていることから、関係6カ国協議等を通じ北朝鮮の核廃棄を実現させるためには、日・米・韓3国の連携が必須条件である。   
 以上の観点から米国を重要なパートナーとするアジア太平洋経済協力会議(APEC)やアセアン地域フォーラム(ARF)の枠組みは温存されるべきである。   
  
  
 最後に、東アジア経済共同体を創設するために必須のアジアハイウェイ構想について申し述べたい。   
 盧武鉉大統領の就任スピーチのなかにあったように、「韓半島は中国と日本、大陸と海洋を連結する橋」であり、日中韓を連結する必要があり、交流の要にある韓国の役割は極めて重大である。   
 一昨年(2003年)11月18日にバンコクで開かれたESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)の政府間会合で「アジアハイウェイ・ネットワークに関する政府間協定」が採択された。そして昨年(2004年)4月26日第60回ESCAP総会で関係32カ国中23カ国により調印式が開催された。   
 計画全体としては、32カ国、55路線、延長約14万Kmに及ぶが、その内「AH1」(アジアハイウェイ1号線)は、日本の東京を基点に私の郷里である福岡と韓国の釜山をフェリーで経て― 私は今夜もこのフェリーで福岡に帰る予定ですが ―、さらにソウルから平壌・北京・バンコクなどを経由しつつ全部で14カ国を通過して、最終地点はトルコのイスタンブールである。   
 東アジア経済共同体構想を具体化するためには、二国間及び多国間のEPA、FTAの推進が基本軸となるが、このハイウェイ構想は国際空港・国際港湾・高速鉄道と並んで最も重要な物流インフラを形成することになるであろう。盧大統領のビジョン実現に向けて、日韓両国は政治・経済・文化万般にわたり一層緊密な協力関係を構築していきたい。   
  
 
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