第11章 情報通信の高度化 - ネットワーク革命


「ネットワーク化」と「デジタル化」

 近年の情報通新技術の進歩には、著しいものがある。その成果は経済活動のみならず、教育、医療をはじめ、国民生活全体に大きな恩恵とインパクトを与えつつある。
 今後、あらゆる分野において、「ネットワーク化」と「デジタル化」はいっそう進展し、これに積極的に対応できるかどうかによって、企業や産業の発展と国民生活の利便性に大きな差が出てくる。国全体として、光通信網など情報インフラのいっそうの拡充を含め、高度情報通信社会を目指すべきときだ。
 このため、市場原理に基づく産業界での情報化活動に加え、政府による公共機関の情報化などの公共投資、関連する基盤技術、利用技術の研究開発、コンテンツ産業の振興などを集中的に実施していくことが必要である。また、情報通信高度化の柱となる、電子商取引、電子マネーやITSなどについては、技術面にとどまらず法制面も含めた総合的な取り組みが不可欠である。「産・官・学」の連携も必要だ。
 公的機関の情報化を核とした新しい公共投資を、中期的な計画に基づいて推進し、民間がビジネスベースで取り組めるよう支援することは、情報通信の高度化にとって効果的であり、産業の活性化、生活の質的向上、行財政改革の実現にも資する。
 たとえば、政府調達の全面的な電子取引化(CALSの導入)は、政府調達物品を扱う多くの民間企業へのCALS導入を促進することとなる。行政のシステム化が進めば、それと連携する民間企業のシステム化が進み、国家全体のシステム化の底上げにも寄与するのだ。
 医療、福祉分野においても、情報通信は大きな役割を果たすものと期待されている。情報通信を活用した遠隔医療や独り住まいの老人に対するケア活動は、各地で実験が進行しており、一日も早い実現が望まれる。
 このように、情報通信の活用は社会生活を豊かにさせる。そして、技術の進歩と国民の情報リテラシー(操作能力)の向上は、そのための欠くべからざる条件である。したがって、義務教育過程でのパソコン教育、インターネットの活用とそれを支えるLANなどの環境整備を精力的に進めることは行政の大きな責務なのだ。
 また、中高年層の情報リテラシーの向上は、高齢者の雇用問題に対しても大きな役割を果たすのである。
 電子政府や電子自治体の実現も、行政サービスの向上をもたらすのみならず、行政のスリム化・低コスト化を促進し、中・長期的に財政改革に大きく寄与する。また、ネットワークを利用した情報公開は、行政の効率化や産業の活性化をもたらすことが期待される。

ルールの整備
 情報通信分野の技術革新は、インターネットに代表されるようなマルチメディア化の爆発的な進展をもたらし、これまで想定していなかった分野の情報化を進めつつある。だが、情報化が進むにつれ、制度とのミスマッチも表面化しつつある。
 したがって、情報通信の高度化に当たっては、これを促進し、あるいはこれにともなって出現する問題を解決するため、法制度を含めた以下のようなルールの整備が必要である。

・許認可の電子申請化
・契約関連の法制度の見直し
・セキュリティ保護の立法化
・個人データ保護の立法化
・電子商取引などに関する消費者保護制度の確立
・税法上の書類の電子的保存を推進する規制緩和
・有害コンテンツ防止対策
・コンピュータウィルス対策
・遠隔医療を可能とするような医師法の改正

 こうしたルールの整備に当たっては、当事者からの意見を踏まえるだけではなく、それが後追いとならないよう、技術革新の状況や国際的な動向などを考慮して、タイムリーに対応していかねばならない。