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論座12月号 「我らが立ち向かう 財政・日本の危機」
緊急座談会  
 
 
参加者  
仙谷由人(民主党・企画委員長)  
山崎 拓(自民党・元政調会長)  
鳩山由紀夫(民主党・代表)  
加藤紘一(自民党・元幹事長)  
 
前文  
景気回復に確信がもてないまま、財政の危機だけは刻一刻と深まっている。  
政治の場でも「痛みの伴う改革」が合言葉になって久しいのに、  
なぜそれが頓挫し、進まないのか。自民、民主のリーダーが、  
自ら責めを負うべき「政治の危機」も含めて語り合った。  
 
 
司会    
本間正明 大阪大学大学院教授  
 
 
政府の補正予算をどう評価するか  
本間 政府は、補正予算三兆九千億円、総事業規模で十一兆円の経済対策をまとめました。まず、これをどう評価するかという問題から入りたいと思います。
  
山崎 今回の対策は、たまたま発表の時期と株価低落の時期が一致し、アナウンスメント効果が極めて乏しかったという憾みがあります。それはどこから来ているのか。やはり財政出動によって景気を支えるということに対する国民の期待はすでに失せていて、むしろ健全な財政を取り戻すことによって将来の見通しをもう少し明るいものにすることのほうが期待が大きい。そう考えることが必要だと思います。十一兆円の半分は融資でして、証券市場の評価がないのは、そういう内容をきちっと把握されているということもあるかもしれません。  ただ、評価すべき点があるとすれば、公共事業とそうでない部分の比率が、昨年の第二次補正の際は二・五対一であったのに対して、今度は一・五対一になっている点は評価できます。財源として特例公債の発行をゼロとしている点も一応評価できると思いますが、建設国債二兆円を発行するわけですから、国債を建設と特例に分けて考えることは財政再建という視点からすると採れない話だと思うので、その点は残念ながら評価できないと考えています。
  
加藤 私もほぼ同じで、この時期の補正予算は、何となく性格が中途半端になってきたかな、あまりにも政治的な、という感じがしますね。十一兆という大きな規模をやったということですが、半分ぐらいは中小企業に対する信用保証枠でして、それも保証する際の基準が前回に比べて格段に厳しいものになるんですね。前回の特別保証枠二十兆の後、平成十一年度で五兆、平成十二年度分で五兆足し、それがかなり使い残っているはずです。甘い融資基準でも使い残しているものがそんなに飛ぶように出ていくとは思えない。この保証枠を「増量剤」にして十一兆という数字にしているので、私は、「政府が景気対策をしてあげるんだ」というイメージだけはまだ保存しようとしている政治的な補正予算だと見ます。  だから期待感をいつまでも幻想として与え続けることは大きな問題だと思います。ただし、公共事業の中で病院とか学校施設とか、そういったものの比率を格段に大きくしたことは評価できます。
  
鳩山 お二人が与党におられるのがおかしいというぐらいの発言でありますが、私からすれば、補正予算は必要ない。補正予算は本来、急にどうしてもやむを得ない場合のみ行うべきで、そうでないのは政府の当初見積もりが誤っていたことの証左です。何か毎年当たり前のように行われること自体が、完全に発想を間違えているんじゃないかと思います。  最近、ある証券アナリストから「市場はもう森内閣に対して完全に不信任を突きつけている」という話を聞きました。市場という先行指標がここまで下降線をたどっているということは、経済政策自体に大きな誤りがあると判断をしているということで 補正予算を組んだところで、弱い経済を持続させる程度の話であって、結果として財政の負担をさらに大きくしてしまうわけですから、むしろマイナスの効果しかないと私は考えます。  いま話があった公共事業の中身の見直しも、どうも「IT」という名前をつければ何でもいいみたいな話です。本気でIT革命をやろうというなら、まず、通信競争法的な規制改革を行うことのほうが重要な話だと思います。そこが見えてこないで、インフラ整備みたいな話で既得権の新たなものをつくり出していくのではないか、という恐れも感じます。山崎さんも話していましたが、公債を赤字と建設とに分けて、建設国債ならばいい、赤字国債はできるだけ発行しない、悪だみたいな話も必ずしもそうではないと思っています。赤字国債も建設国債も借金であることに違いはありません。結局また赤字総額を増やしてしまうだけになると、むしろ大変な危惧を感じているところです。
  
仙谷 この間の三十兆円にのぼる中小企業の信用保証枠の拡大が、何をもたらしたのか。東京の信用保証協会のでたらめな話に検察がメスを入れましたが、全国でいままでの銀行融資を相当部分、信用保証に振り替えただけという結果になり、そこにブローカーが介在するというでたらめなことが起こっている。こういうモラルハザードをますます助長するようなことをやって、何かをやってあげた、だから景気は良くなるんだ、だから選挙で票を入れろみたいな、こんなことをやっておれば、私は必ずマーケットのほうから極端な仕返しというか、逆襲を受けるんじゃないかと大変心配しています。  時代が変わったというか、経済構造が変わり、政府が、あるいは財政が何か強烈なことができて、それで景気が良くなる、経済成長が取り戻せるというのは全くの幻想です。早くこの幻想を断ち切ることを政治家のほうから言わないと、悪循環の繰り返しで、取り返しのつかないことになる。景気とか成長に対しては中立でいいんだ、という財政運営を心がける腹を決めないといけないと思います。  それからさっき山崎さんがおっしゃった公共・非公共の話は、実は非公共というのが建物のことなんですね。学校、病院、これは全部非公共だと言っていますから、世間一般の人から見ると、公共事業そのものです。これを反省して、もっと人間そのものに投資するというふうに考えを変えないと、ソフト化する経済に対応できてこなかったこの十年間の病気をますます重くするだけじゃないか。
  
加藤 おっしゃるように、政府が何か手を打てば、自分の会社の売れ残った在庫品がさばけていくと、経営者がまだ思っているところがあります。だから、今一番重要な景気対策は、総理大臣が……。
  
鳩山 代わること。(笑い)
  
加藤 総理大臣が「私が手を打っても、おたくの在庫が売れていくわけないんです。やはりいい商品、サービスをつくってもらうことが経済再生の一番の道だと、率直に正直に言わせていただきます」と施政方針で言うことだと思っています。
  
鳩山 私どもはハードなものにお金を使うというよりも、人的なものに、本当に自立をしようとする人たちをサポートするような政府をつくることが大事だと考えています。例えば大学を出た直後の人たちが、自分たちで開業・起業しようじゃないかと、それをサポートするようなインキュベーティング(育成)的なものにお金を出す。「自分たちは、頭はあるけれども、金がない」という人たちに仕事をどんどん起こさせるという、自立支援が政府の役割ではないか。その部分がまだまだ足りない。
  
本間 科学技術の振興は非常に重要ですが、いま鳩山さんがおっしゃったソフトの部分ですね。日本の場合は、商業大学的な発想は非常に希薄になっている。
  
加藤 その点、なんとかして大学の研究を産業につなぎたいと思い、いろんな問題点を探ってきましたが、やはり第一は「産学協同は悪である」という雰囲気をどう克服するかだと思いますね。  アメリカ経済の強さはITだというんだけど、シリコンバレーというのは、実はスタンフォードとUCLAの基礎研究が民間企業に渡された広域の場所と思えばいいんですね。同じことがバイオについて、MIT、ハーバードと民間、製薬会社などとの間で起きているのがボストンおよびケンブリッジだろうと思うんですね。  日本にもTLO(大学による企業への技術移転機関)というのがあります。しかし、これはもう本当にアメリカのシステムに比べると、二、三%ぐらいの過程を歩んでいるにすぎないと思いますね。それから研究者がいわゆる特許申請する能力に欠ける、めんどうくさがる。それより研究のほうが好きだ。まして、それをインキュベーター・マネーにつなげる発想を助けてくれる人がいない。  ただ、鳩山さんの話のなかに、政府が何かやってあげられないかという部分がありましたが、政府は「国立大学の先生でも民間企業と産学協同でやってもいいですよ」という規制緩和はいいけれども、インキュベーションを政府がやるのかという点には疑問もあります。
 
 
 
橋本行財政改革の挫折から何を学ぶか  
本間 補正予算の議論でも分かるように、政策のクレディビリティーには二つの側面があります。一つは、一貫した政策対応を取っていない政府に対して、市場が不信感を発していること。もう一つは、政府が対応してくれるだろうと予想して、そこから恩恵を受ける人たちが構造改革に取り組まない、というモラルハザードを起こしていること。この二つの反応がここに来て日本経済にとってネガティブな要因になってきつつある。  この点を考えるために、橋本政権下での改革路線以降の動きをどう評価し、何を学ぶか、ということを考えたいと思います。私はバブル崩壊後の三年間ぐらいの財政出動は、システミックリスクを解消させるために非常に有効な対応であったと思うんです。しかし、九五、六年以降、いったんややオーバーキルに振れ、それに慌ててまた吹かすというぎくしゃくした経済対策が取られた。そのことが結果的に財政赤字の累増を招いたという見方もあるのですが、橋本政権で政調会長だった山崎さん、いかがでしょう。
  
山崎 ご指摘の象徴的な事態は九七年の十一月に起きたんですが、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券と、連続して破綻が生じた直後の十一月二十八日に財政構造改革法が成立したわけですね。ブレーキをかけるときにアクセルを踏んだというか、アクセルを踏むときにブレーキをかけたというか、いずれにせよ、同じ時に両方踏んじゃった形になりました。私も当時の政調会長として責任を感ずるんですが、金融問題の深刻さ、根の深さにあまり深く気づかずに、そのまま財政再建に踏み込んでいったわけですね。  ところが、たちまちにして一九九八年の五月には財政構造改革法の見直しをやって緩めざるを得なかった。赤字国債の発行枠を弾力化し、社会保障費の追加支出を認める。こういう食い違いが生じまして、ついにはその年の参院選挙でわれわれは大敗を喫した。そこで財政再建はいったん、事実上頓挫したわけですね。小渕政権になって十二月十一日、財政構造改革法を凍結することが決まった。  ですから確かに仕掛ける時期を間違えたのかもしれないし、金融破綻で生じたシステミックリスクへの対処が遅くなったことには、深く反省しているところです。しかしいま振り返ってみると、その後の景気対策として、本来金融システム対策をもっと前倒しでやるべきであったのに、財政出動、つまり公共事業とか減税で、なんとか個人消費を起こそうということに終始してしまった。それが財政をおかしくした。とすると、やはり財政再建路線というのは、必ずしも変える必要はなかったのではないか。いまからでも遅くないので、もう一度早く立ち返ったほうがいいのではないかと思います。
  
本間 同じく橋本政権で幹事長として采配を振るった加藤さんは、当時の改革路線をどのように位置づけていますか。
  
加藤 やるべき路線であり、欲張りすぎたことはあっても正しかった路線と思っています。失政ではない。問題点があるとすれば、その政策を国民に説明し、インフォームド・コンセントを得るためのプロセスが欠けていたし、説得力も不十分だったと思っています。今日はあの問題の当事者の一人として、いまだに分析解説されていない、政治経済学的なポイントを申し上げたい。それは「財政構造改革政策の失敗」とは何を指すのか、ということです。  第一に、財構政策は実は一度も実行されていない(笑い)。なのになぜ失敗と言われるのか。というのは、九七年六月に決定されて、それに基づく予算が九七年末に作られはしたが、翌正月には当時の金融危機を受けて補正予算を組むことは明確になっていた。実際、四月に予算成立した翌日には補正を組む方向転換を政府は決定する。つまり、「財構政策」が生きていた期間はたった半日だった。  二番目に、九七年春の九兆円の財政緊縮の問題です。このうち少なくとも消費税率引き上げは九五年の十月、村山内閣の下で決めたことです。九兆円のうち消費税が五兆、特別減税取りやめが二兆円、医療保険改革による負担増が二兆円で、私はとくに最後の二兆円はかなりマイナスに効いたかな、という反省は非常に強くもっているんですが、基本的に橋本内閣の問題点ではない。
  
本間 確かに村山内閣の時に、景気が一段落したら消費税を上げ、それまでの減税分を埋め合わせると決まっていました。
  
加藤 三番目に、財政出動で赤字が増えているといいますが、財政出動は実はあんまり増えていない。公共事業で借金が二百兆円たまったといいますが、この四、五年の間に公共事業がそんなに増えたわけではない。  国が十兆円、地方が二十兆円、公社公団等が十兆円の計四十兆円。規模から見れば、国は五千億や一兆増やしたという程度。地方はもう負担に耐えきれなくなっていて、県単、市町村単は去年一割、今年は二割減らしていますよね。そのデータを大蔵も自治も出さない。なのになぜ赤字が増えたのか。大幅に減税したからです。地方、国合わせて、本間先生、これまでに九兆円ですか。
  
本間 そのぐらいですね。
  
加藤 九兆も単年度で恒久減税すれば、めちゃくちゃな財政になるということは明らかなんです。  最後の疑問は、なぜそんなことが解明されていないか。それは、マスメディアに登場するエコノミストの多くが、銀行や証券関係の出身者だからです。日銀出身のエコノミストも含め、すべて金融の失敗ということを隠して財政の問題に振っている。それを読んだサマーズ(米財務長官)が「財政出動せよ」と言っている構図だなと思います。サマーズと会って議論しても、そんなに深い分析はしていない。日本の報道を見てアメリカの政策を決めている。つまり、日本の経済論議はあまりにもナイーブかつ粗雑にやっているのではないか。だから独立系およびアカデミズムのエコノミストの責任は大きい。ですよね、本間さん。(笑い)
  
仙谷 いや、民間エコノミストだけの問題ですかね。私は、日本の経済をこんなにむちゃくちゃにしたのは財政構造改革ではなく、金融危機を予想してた人がいなかったことにあると思う。九二年夏に株価が暴落したとき、少なくとも宮沢さんは公的資金投入の必要性に気づいていたが、「そんなことをすると非難を浴びる」という声でやめてしまう。その後、住専問題でも、今から思えばたった六千八百五十億円でたじろいでしまった。  加藤さんは金融機関のほうが財政のほうに責任をかぶせているとおっしゃいますが、金融機関から言わせると、護送船団方式で手足は縛られ、行政には財政と金融の分離もない。だから「われわれは従っていただけじゃないか」という反論しか出てこないんではないか。そして、いまの時点でも金融不良資産の問題は解決していない。九八年の段階ですらメスを入れられなかった。このことが、金融と実体経済の関係を歪にしている。
  
山崎 いま仙谷さんがおっしゃったことに対してやや釈明しますと、九六年の通常国会で住専の処理を行ったわけですね。六千八百五十億の財政出動で資金の穴を埋めて救済というか、解決することになったんですが、そのときに野党が猛烈な抵抗をやったんですね。三週間、国会に座り込んでクローズしたわけです。
  
仙谷 私は落選していましたが。(笑い)
  
山崎 たまたまこの四人は与党だったので言いやすいんですが、あのとき小沢一郎氏率いる野党勢力が猛烈な抵抗をやりまして、マスコミもこれに加わりましてね。「この住専処理は徹底した悪である。国民の負担が一人当たり五十万円、これはもう大変な苛斂誅求の類で許すべからざることだ」と言われて、加藤さんと私は、もう塗炭の苦しみを味わいましたよ。それで、あれが国会を通った後、われわれは精も根も尽き果てて、「しばらく金融システム対策はやめよう」となったんですね。あのやめた半年間が非常に災いしたと思います。ですからこの問題については、責任は重いと思いますよ。
  
鳩山 一言だけ付け加えさせていただくと、いまの皆さんの分析はそれぞれ方向性は正しいと思うんですが、あえて言えば、橋本財政構造改革路線でもしあのまま突っ走っていたとしても、結局うまくいかなかったのではないか。つまり、あの時の改革の基本は「一律カット」でしたが、それで構造改革をうまく導くことはむずかしかったのではないか。  いまのお話を伺って改めて重要だと思うのは、この日本の金融を含めた経済全体の姿を誰一人、正確に知る者はなかった、ということです。財界や金融機関の人たちも、自分たちの危ない部分はできるだけ隠そうとしていて、われわれ政治家もそこを十分に見切れなかった。後になって「あ、ここまで来ていたのか」となる。自分たちだけは生き残りたいという既得権を持った人たちがしがみつこうとする部分に対して、十分に政治がメスを入れ切れなかったところがあった。  ですから、情報公開とか透明性の問題が本来ものすごく大事であったのではないか。そこが欠けていたために改革を遅らせてしまった、あるいはまだ十分にできていない状況をつくってしまっているのではないかと思います。
  
加藤 いま鳩山さんがおっしゃったのは、とても重要な部分でして、十年前にわれわれのような大蔵省出身でない政治家、とくに党人派の政治家が大蔵省に「銀行界の不良債権状況についての資料を寄こせ」といっても、大蔵省は出さなかったと思います。「株の情報を集めてインサイダー取引でもするのではないか」、あるいは「特定の銀行に圧力をかける手段に使うのではないか」と思われたでしょう。ですからよほど大蔵省に信用のある限られた議員でなければ、金融に手をつけることはしない。李下に冠を正さずのほうが無難だと思って、誰も口を出さなかったんじゃないでしょうか。
  
仙谷 それと金融問題はむずかしいですから、なかなか議員間で一般的な議論の対象にならないですね。
  
加藤 ならない。むずかしい部分は勉強しなければいけないでしょうが、やはり情報公開が必要だという鳩山さんの指摘は、きわめて重要だと思います。
  
本間 私は橋本政権下の財政構造改革の考え方というのは、いまでも正しいと思っております。あの当時、ソフトランディングの工夫があれば、うまくいった余地があったでしょう。  しかし不幸なことに、今までのお話にあったように、ずっと前に終わっているべき金融の不良債権処理が、九〇年代後半までずれ込んでいた。さらにアジア通貨危機も起きる。それが証券会社、銀行の倒産という形であらわれ、いままで絶対視されていたところが壊れていったために、国民に対して非常に心理的な不安感、将来に対する不確実性というものを呼び起こした。  一方で、消費税率引き上げについても、将来の少子高齢化の財源というイメージで捉えられる傾向があった。加えて、二兆円の医療費負担増がある。つまり、過去から引き継いだ問題と将来に対する不安とマーケットの混乱が、セットになって財政構造改革と一緒に出てきた。そういう状況に比べると、国民に対する啓発というか、理解の求め方というのは不十分だったという感じがします。
 
 
 
財政構造改革へいま何をなすべきか  
本間 さて、ではこうした教訓を踏まえた上に、新たな財政構造改革にどのように取り組んでいくべきなのか。景気を持続可能な形で――私はいま日本の実力では二%成長で上出来だと思いますが、少なくともその程度の経済的な状況を保ちながら、いかに財政再建、あるいは財政構造改革に打って出るべきなのでしょうか。例えば公共投資は、九二年ごろには対GDP比率で六・五%ぐらいでしたが、いまは八%台です。こうした問題を含めて、どうしていくべきでしょうか。
  
仙谷 私はこういうもの(表参照)を作ってみたのですが、単年度の税収全部を使っても、国債費と地方交付税と人件費でおしまいという形になっています。公債金三十三兆円で、社会保障と防衛費と公共事業、要するに政策経費をまかなっている。つまり、借金以外には政策展開が一円たりともできないみたいな極端な構造になっちゃったわけですね。  これに地方も含めると、まず年間五十兆円の財政赤字は確実だという話です。わずか二年間で百兆円。誰が見ても、持続可能性がないことは明らかです。当面、少なくともプライマリー・バランス(基礎的財政収支=国債費と公債金をのぞいた収支)だけでも回復する方向性を持たせないと、経済に財政の弊害があらわれかねない。つまり、悪性インフレや長期金利の高騰が懸念される。あるいはその懸念がごく普通の消費者、市民の間にもあるために財布の紐は固くなっている。  したがって、まずなるべく政府の支出をカットする。同時に、歳出の構造を大胆に変える。 要不急の農業土木なんかは、極端にいうと半減させてもいいんだぐらいの議論がもっと出てこなければいけない。今年はウルグアイ・ラウンド対策費で予算が出る最終年だと思いますが、あれで土木中心になったことがモラルハザードの象徴のような気がする。現状のままでは、もうマーケットの爆発を待つだけということになるのではないか。
  
山崎 政治的に言うと、まずは来年度の予算編成方針を明確にしなきゃいかんと思うんです。いま仙谷さんのおっしゃったことは、私もほぼ理解しますが、基本方針がないと、なかなか実行に移せない。だから私はまず景気中立型にするということを明確にすべきだと思うんですね。それともう一つは、中長期的な財政再建を視野に入れた予算編成にする。この二つだけはきちっと押さえておくべきです。これは現森内閣ですから私は申し上げているので、新政権ができれば別ですよ(笑い)。新政権には新政権の方針があると思いますけど、現森政権が取り得る範囲はこの二つまでだと思います。そこだけはちゃんとやってもらわないと、悔いを千歳に残すことになる。  景気中立型ということで肝心なのは、補正をやらない、ということです。最初に鳩山さんがおっしゃったように、本来の補正、つまり災害時の対応とかは別です。しかし、補正予算で公共事業を追加して景気対策をやるということはもうやめるということを鮮明にすべきだ。  それから、中長期的な財政再建という観点からいうと、福祉ばらまきの予算はやっちゃだめだということですね。七千億円もばらまいた地域振興券も私は絶対反対でしたが、あれは単年度ですからまだ罪は軽い。しかし中長期的にこういうものをやられたら、これはもう後の政権担当者はたまりませんよ。児童手当の拡充とか児童年金とかという構想に変わったって中身は同じですよ。そういうことをやらないということを、この際、明確に予算編成方針にしてもらいたい。
  
加藤 とにかく、所得減税や政府のばらまきで景気は立ち直らないという教訓を得たことを、予算編成にあたって明確にすべきです。もちろん一挙に財政再建はできませんし、恐怖感を与える場合もある。だからまず、「時間をかけても財政再建しよう」という方向転換をすることが大事だと思うんですね。それをこの一年間のうちにしていたら、例えば介護保険の開始にあたって保険料を取らないということはなかったでしょう。国民もそこは覚悟していて、むしろ取らないといったときに怒ったぐらいですから。  それから鳩山代表が「所得税課税最低限の引き下げも選択肢の一つ」ということを、遠慮しながら(笑い)提起されたときに、自民党の幹部は「非常に見識のある深い言葉だ」と応じたはずなんですよ。お互いそこは議論を交換しながら高め合って国民にも理解を求める超党派の動きになったはずなのに、「弱者をいじめるひどい民主党」と、うちが言ってしまった。あれは最大の間違いだと思いますね。その後、鳩山さんも若干ブレられたのは小さな間違いですけど(笑い)……。
  
鳩山 党内で修正したんです。(笑い)
  
加藤 党内で修正したのが民主党の間違いだったと思っています。危機感を最初から持っていれば、そんなことは起きなかった。それから「老人は弱者だから、年金負担や保険料徴収を控えよう」という人もいますが、弱者はいま若い世代なんですね。だから二十代、三十代がいちばん将来に向けて貯蓄率を高めている。やはりご老人の方も元気であったら、消費税という形であれ介護保険料であれ、それなりにご負担いただこうという発想になったはずですね。この三点だけでも、だいぶ違うと思いますね。  財政がこのままいったら、ムーディーズが日本国債をさらに格下げし、そしてスタンダード・アンド・プアーズも追随するかもしれない。そのときには、日本はパニックだという危機感をまず持つことが第一だと思っています。
  
鳩山 私の発言を――必ずしも民主党の方針にならなかった部分はあったかもしれませんが――だいぶ評価をしていただいてありがたいですね。私は国民の皆さんの意識、特に財政に対する危機意識を肌に感じていて、それを政権与党側がもっと率直に示されたら怖かったなと思っていたんです。  しかし、所得税の課税最低限の引き下げの議論とか、介護保険の保険料徴収は予定通り行えとか、本来ならば政府側が言うべき発言をわれわれがあえて申し上げたときに、徹底的に非難をされた。私は、国民の意識の高まりをもっと信じて政治を行うべき時期が来ていると考えていますから、政府・与党側がそこにあまり気づいてくださらないほうが、野党は助かるかもしれないと思う。  しかし、国民全体からみれば「なんとかしろ」という声はもう巷に溢れている。そこで、いま仙谷君も言ったように、景気対策のための公共事業はもうやらないといった、はっきりとしたメッセージを出していきながら、五年ぐらいでプライマリー・バランスを達成する必要があると考えています。先ほどの図から分かるように今は十一兆円のマイナスです。最低でもそのくらいのペースを視野に入れて来年度予算をつくるべきです。  景気については、IT革命を本気で行うための規制改革が必要です。それは必ずしも「規制緩和」ではない。規制を一方的に緩和するという方向だけでは、NTTと今後新規参入しようとする小さな企業との間で、逆にガリバーが得をしてさらに成長してしまう可能性がある。新規参入しようとする人たちの意欲が駆り立てられるような自立支援の方向での規制改革を通信競争法などで行う。そうした形で、財政とは別の視点で十分に構造改革を進めることができると思います。弱い経済を持続させるような政策ではなくて、強い経済を強引にでもつくり上げていくことが望ましい。
  
山崎 付け加えますが、来年度からスタートする省庁再編の効果を来年度予算から出していかなくてはいけない。定員削減を確実に実行することです。これをやらないと、何のための行革だったかということになる。ただでっかい省庁をつくったというだけでは何にもならない。
  
鳩山 私も付け加えさせていただくと、財政を本気で見直していくには、国と地方の両方を見ないといけない。いまの政府は「地方分権推進」と言っても名ばかりで、財源、権限のどちらも、とくに財源はぜんぜん委譲していない。その委譲を大胆に推し進めていくことが極めて大事だと思っています。分権というものが次の二十一世紀における日本の財政を立て直すためのキーワードにもなる。
 
 
 
痛みが伴う政策を政治はどう進めるか  
本間 国民には、与野党がどちらを向いているか非常にわかりにくい。自民党ではYKK中心にメッセージはあるが、政権の予算を組んでいる側には、お話に出たポピュリズム的な部分、ばらまき的な部分もある。一方、民主党にしても、この問題でもあるいは憲法論議でもぎくしゃくして、どちらに進もうとしているのか。政党のいわばスタンスとしての国民に対するメッセージ、アピールが非常にわかりづらい。それが、ある種、不確実性を持たせて、政治全体に対する不安を増幅している部分があるわけです。
  
山崎 わかりにくくなっているのは、五五年体制が崩壊してイデオロギー上の対立がなくなり、自民党と民主党の主張の違いがよくわからないという点だと思うんですね。それと財政再建のような国民の反発を買う、あるいは国民の理解を得ることが困難な問題に取り組んでいかなくちゃならない時に、いまの政権構造でやれるのかという疑問ですね。そういうものが交錯して、政治に対する不安感、不信感が生まれていると思います。  ここは非常に大きな枠組みで安定した強力な政権をつくって、良薬は口に苦しというより、もっとガンの摘出みたいなことになるかもしれませんが、そういう大手術的な政治をやっていくときが来ている。もう少し広い視野に立って政権構造を考えないと、二十一世紀はスタートできないんじゃないかと思います。
  
仙谷 どうも世界経済というか、アメリカ経済が、今年三月にナスダックの崩落が始まったところから循環的な下降局面に入ったのではという感じがする。日本はこの二年ぐらい、金融機関にメスを入れて不良債権を一掃するぐらいのことが必要だったんだけれども、どうも、あんまり意味のないことをやりすぎて財政のネタが尽きた。そこに今度は下降局面に入ってくるとしたら、ここから一、二年非常に苦しい展開にならざるを得ない。政治はそこをちゃんと説明して、辛抱を求めるんだったら求める。あるいは日本は、きれいなスリムな体にならないと、もう一度成長軌道に戻らないんだということを説明しない限り、この局面はちょっと乗り越えられないんじゃないかと、私は大変深刻な危機感を抱いています。  ただ、これはどうも自民党にはできないんじゃないか、政権交代がないとできないんじゃないかと。加藤さんたちが飛び出して来るならいいんだけども、いまの自民党総体では、その政策は取れない。財政に対する与党としての責任が全部逆方向に行って、僕に言わせれば、何か変な物欲ポピュリズムみたいなものを煽っている。介護保険料を取らないとか、選挙対策のための媚びる政策がこの数年はひどすぎる。ことここに至れば大胆な政権交代がないとだめだと。
  
加藤 賛否両論の気持ちで聞いていました(笑い)。確かにわれわれには長い間の慣性、悪い意味での慣れみたいなものがある。しかし、自社さ政権の四年は、かなりいろんな新しい問題に取り組んで、ともに国民に語って、消費税率を三%から五%に引き上げるということを選挙前に逃げずに率直にお願いして戦ったという勇気のあることもやりました。実はあれが財政再建路線だった。だから、確かに一つの政党だけではできないことがこれからは起きてくるんじゃないか。いま仙谷さんも、民主党ならできるぞという感じの言い方ではなく(笑い)、鳩山さんのあの課税最低限の話も、党内では揺り戻しが出てきて、泣く泣く代表は……。
  
鳩山 これからやりますから。
  
加藤 修正せざるを得なくなったということは、民主党の中にも変な物欲ポピュリズムがあるという事実を示しているわけでしてね。やはり双方の指導者たちが、この国の将来をどうするんだということとともに、これから一、二年は世界同時株安不況と、たぶんわが国の金融の弱体化がまた来るんではないか。いまは大きな銀行を合併して巨大化しているだけですから。そういうとんでもないところに来るんだろうと思うんですね。したがって、自由民主党がそういう重大な政策テーマについては、私はこれを「部分連合」と言っているんですが、こちらから門を叩いて話し合いと協力を求める。他の点では選挙とかいろんなところでは激しく相争い、ボクシングをしていくんですが、重要なテーマのところでは話し合いを求めに行く、ということがどんな政権体制になっても必要な時代が必ず来るなと。私はそこが重要なポイントになってくるんじゃないかと思っています。
  
鳩山 ゴア副大統領に会ったときに、「私たちもイデオロギーの時代を超えて、むしろ考え方の近い二つの勢力をつくって拮抗し合っていきたい。例えばアメリカの民主党と共和党のように」と言ったら、「民主党と共和党は近くありません。きわめて離れています」と(笑い)相当息巻いておられたんですよ。私はいま大事なことは、国のあり方みたいなところで方向性はかなり合いますけど、むしろその中での違いというものをいかに有権者に肌で感じてもらえるかということが、いままで以上に重要になってきているんじゃないかと思うんです。  そこでさまざまな考え方が民主党の中にもありますし、自民党の中にもあります。私は自民党の強さは、亀井さんのような方もいれば、加藤さんや山崎さんのような良識派のような方もおられ……。
  
加藤 「のような」ですか。
  
鳩山 「少し控えなくちゃいけない」といろいろ周囲から言われているものですから(笑い)。自民党はそれが強さであって、民主党も私はさまざまな考え方がある政党であることを否定しませんし、むしろ憲法に関しても護憲から改憲までさまざま揃っていていいと。それが議論し合いながら、だんだん意見をまとめていくプロセス、そこにいかにリーダーシップを発揮するかということだと思っているものですから、そこは、むしろ考え方が一つしかないような政党よりも、柔軟性があることが、それこそ政権を担い得る一つの資質だとさえ思っています。  その上で自民党と民主党の違いというのは、衆院選挙の結果で出たように、都市部ではわれわれがかなり善戦しましたが、いわゆる地方では自民党が圧勝した。自民党は、岩盤のような強い既得権に支えられている。自民党はこの岩盤を簡単に崩すことはできないだろう。それを温存しながら政策を作っていくとすれば、常にある程度、既得権というものを守っていく方向での政策しか最終的には打ち出せないんじゃないか。そこにはどう考えても限界があるんじゃないか。  ですから、言葉では大変に私どもに近い意欲的な発言をされる方々が、では、はたして自民党の中の大きな岩盤の上に立って、その岩盤を崩すようなことまで協力して、例えば民主党と協力しておやりになれるのかどうかとなると、そこは極めて難しいだろうと。だとすれば、その岩盤をむしろ外から壊すことしかないのではないか。協力といって政策ごとに協力をするということは、かえってその岩盤を強化させてしまうのではないか、そこに民主党が協力するということになっては、元も子もなくなってしまうのではないかと思っています。
  
本間 加藤先生、どうですか。
  
加藤 民主的な政権交代というのは、政策がほとんど差がないほど近づいていないとあり得ないというのが、議会制民主主義の物理学だと思うんですね。ですからこれからは政治家個人や、どちらの政党がよりいい政党っぽいか、より可能性のある政治家をリクルートするかの戦いになるだろうと思うんです。しかし、今それより重要なことは、政権側にいた経験を持つ二大政党が、国難とも思えるような重大な政策については、本当に腹を割って話し合って、挙国一致でそれに立ち向かうということではないのか。  大学生が一カ月一万三千三百円の国民年金を、「国に預けたら、親父たちの景気対策の借金のつけ払いに使われるんじゃないか」と思い払わなくなったのは、国難に近い状況になっているんじゃないか。しかも、外国からまた大きな波が寄せてくることは必定だと思いますので、まさに財政再建のための構造改革は超党派で考えていかなければならないテーマにすでになっちゃったという気がします。
  
鳩山 民主党はやはりチャレンジする側ですから、似て非なるところの違いというものを、むしろ強調しなければいけない。いまの自民党の政策は、まだばらまきを続けていく方向ですが、われわれの党内は、経済よりも財政の健全化のほうにもっとシフトしなさいという点に関しては一致しています。国と地方のあり方も、地域の人たちにこそ主権があるんだという「分権連邦国家」構想、そういった分権的な思想でわれわれはこの国を変えていきたいと思っている。そういった違いをより明確化して、「自民党の政治が続くことがいいんですか、民主党の政治に変えませんか」というメッセージを、チャレンジ側として強烈に打ち出していく必要があるだろうと思っています。
  
加藤 鳩山さんや仙谷さんのお話を聞いて、逆説的にいうと、非常に安心したんですけれども、既得権益に擁護された組織、それが自民党の岩盤であると思っておられて、たぶんそういう感覚で対策を立てられると思うんですね。それだったら僕らは民主党、怖くないんです。保守政治の本来の岩盤というのはそういうものじゃなくて、視点がかなり長期的な知性と識見に満ちた地域とか集団のリーダー、そしてこの国・グループ・地域の将来については自己犠牲を払おうとする責任感を持った人たちの集まりなんで、その人たちに響くような政策をその人たちから支持し続けてもらうためには、かなりしっかりとした国の将来を考えたビジョンと政策を打たなきゃならない。  実はその層が、われわれに少し猜疑の念を持ち始めたところに危機があるのであって、その意味で、鳩山課税最低限発言というのは、「うーん、自民よりも民主のほうがものを考えておるかもしれん」という印象を一時、ちらっと与えました(笑い)。だからわれわれ政治家が考えなきゃいけないのは、日本の国民は地域リーダー、サブリーダーを含めて、かなりしっかりとものを見て、考えている人たちだから、その人たちが「政治家はものを考えていないんじゃないか」って本気で思って、われわれを見捨てた時は、この国はパニックになるんじゃないかということを考えなきゃいかんと思います。
  
仙谷 鳩山代表が申し上げた既得権構造の岩盤の話は、簡単にいえば「国家財政依存」と言ってしまえばいいわけで、それがもうファイナンスできなくなってきたんだという、その現状認識を共有できるかどうか。つまり、そういう危機感と現状認識を共有できるグループなのか。そうした主張が自民党なり、あるいはわが党でもっと大きい主流の声にならないと、加藤さんや山崎さんがおっしゃるような、この国難を克服するための大連立みたいなものはぐちゃぐちゃにしか見えないのではないかなという感じがします。自民党内でそういう財政規律主導的な、危機感に溢れた政策や政権に変わる可能性はあるのか、少なくとも今度の補正予算ではそうはなっていないわけですから。さあ、ここから半年、一年、あまり時間はないわけですが、どういうふうに見ていったらいいのかなと。
  
山崎 自民、民主両党とも、財政再建のための構造改革の必要性について、統一意思がまだ欠けていると思うんです。わが党内にも、財政の行き詰まりが、実は経済成長の阻害要因になるという点についての認識が足らない。そうなれば日本経済が世界経済の足を引っ張る、そういう根本問題にまだ党内の理解が行き届かない。そこはわれわれも反省しているので、よく説得したいと思いますが、民主党にも同じことが言えるのではないか。しかし、リーダーの中にそういう新しい認識を持った人がいるわけですから、国益、国家のためにひとつスクラム組んでやろうじゃないかと私は思いますね。
  
本間 ありがとうございました。これからは、改革が痛みを伴うことを国民に説得する、まさにそういう時代だろうと思いますので、ぜひ議論の段階から実践に移っていきますよう期待しています。
  
鳩山 痛みを伴うときこそ、やる気のある人にはチャンスなんです。
  
本間 そうですね。
 
 
コメント  
こんなことをやっていたら、市場から逆襲を受ける――仙谷  
 
補正予算を組んでも、弱い経済を持続させる程度の話――鳩山  
 
財政で景気を支えることへの国民の期待は失せている――山崎  
 
金融の深刻さに深く気づかずに財政再建に踏み込んだ――山崎  
 
一番の景気対策は、首相が率直に正直に言うことだ――加藤  
 
金融危機を予想した人がだれもいなかったのが問題だ――仙谷  
 
エコノミストが金融の失敗を隠し、財政に振っている――加藤  
 
当面プライマリー・バランスだけでも回復させる方向を――仙谷  
 
情報公開や透明性に欠けていたことが改革を遅らせた――鳩山  
 
ばらまきで景気は立ち直らないという教訓を明確に――加藤  
 
現政権はまず、財政を景気中立型にする方針を示せ――山崎  
 
大手術には大きな枠組みで安定した強力な政権が必要――山崎  
 
「財政を何とかしろ」という声は巷にあふれている――鳩山  
 
自民党は既得権という岩盤を自ら崩すことはできない――鳩山  
 
危機感がどこまで広がり、どこまで共有できるのか――仙谷  
 
国難には二大政党が腹を割って話し合い、立ち向かう――加藤  
 
 
 
プロフィール  
ほんま まさあき 一九四四年生まれ。  
大阪大学経済学部卒。八五年に同大学経済学部教授に就任後、経済学部長、副学長を歴任。政府の税制調査会、財政制度審議会などの各委員。  
 
はとやま ゆきお  
1947年生まれ。米スタンフォード大学大学院修了。工学博士。専修大助教授を経て、86年衆院初当選。93年に自民党を離党。内閣官房副長官、新党さきがけ代表幹事を歴任。96年に菅直人氏らと民主党を結党。昨年9月に代表就任。  
 
せんごく よしと  
1946年生まれ。東京大学中退後、弁護士となり、日弁連人権擁護委員。90年に衆院初当選。社会党市民局副局長、党徳島県本部委員長。96年の総選挙後、民主党に参加し、党筆頭副幹事長、党企画局長を歴任。大阪経済法科大学客員教授。  
 
やまさき たく  
1936年生まれ。早稲田大学卒。大手タイヤメーカー社員、福岡県議を経て、72年衆院初当選。衆院社会労働委員長、防衛庁長官、建設相、自民党国会対策委員長、党政調会長、衆院日米防衛協力指針特別委員長を歴任。党派閥の山崎派会長。  
 
かとう こういち  
1939年生まれ。東京大学卒。外務省を経て、72年衆院初当選。内閣官房副長官、自民党総務局長、防衛庁長官、党総合農政調査会長、内閣官房長官、党政調会長を歴任。自社さ政権の95年から3年間、党幹事長。党派閥の加藤派会長。  
 
 
 
 
財政再建・財政構造改革をめぐる動き  
1995.11 武村正義蔵相が「財政危機宣言」
1996. 1 橋本政権が発足
      6 住専処理への公的資金投入の関連法案が国会で成立
      7 財政審が財政構造改革白書を発表
     10 総選挙で自民善戦、橋本政権継続
     11 日本版金融ビッグバン宣言
     12 財政健全化目標を閣議決定
1997. 1 政府・与党の財政構造改革会議発足
      4 消費税増税・特別減税廃止・医療費負担増スタート
      6 財政構造改革法案を閣議決定
     11 北海道拓殖銀行、山一証券が破綻
     11 財政構造改革法成立
     12 橋本首相、特別減税復活を宣言
     12 超緊縮型の98年度予算案を閣議決定
1998. 3 大手銀行に第1次公的資金注入
      4 事業規模16兆円超の総合経済対策決定
      5 財政構造改革法を改正し、赤字国債発行を弾力化
      7 参院選で自民党惨敗・小渕政権が発足
      9 日銀3年ぶり金融緩和
     10 東証平均株価がバブル後最安値を更新
     10 金融再生法・早期健全化法が成立
     11 事業規模17兆円の緊急経済対策を決定
     11 ムーディーズが日本国債を格下げ
     12 第3次補正予算、地域振興券配布を閣議決定
     12 財政構造改革法凍結法が成立
     12 99年度予算案、一般歳出伸びは過去20年で最大に
1999. 2 日銀、ゼロ金利政策決定
      2 経済戦略会議答申「財政正常化は2008年度に」
      3 9兆4000億円規模の減税法が成立
      3 大手銀行に第2次公的資金注入
      6 失業率4.9%で過去最悪に
     10 自自公連立の小渕改造内閣発足
     10 介護保険料徴収半年延期を与党が合意
     11 総事業規模18兆円の経済対策決定
     12 ペイオフ凍結解禁延期を与党が決定
2000. 5 森政権が発足
      7 総選挙で自公保が過半数、民主も躍進
      8 日銀、ゼロ金利政策解除
      8 与党が公共事業233件の中止を含む見直し案提出
      9 ムーディーズが日本国債を再格下げ
     10 総事業規模11兆円の新経済対策決定
 
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